2011年06月14日 (火)

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映画『マイ・バック・ページ』のネタバレを若干含みます。

1,000 円の日なので映画へゴー。
平日で、かつ TOHO 上大岡で『マイ・バック・ページ』は現在 21:50 からの上映。客はわしとあと 1 人だけ。

座席

お客さん少ないと判ってても絶対 A2 とか、最前列の一番端の席に座るわし。
一般的に最も避けたい席だし誰も来ないから気楽で良いのです。

マイ・バック・ページ [★★★★☆]

1971 年に起こった朝霞自衛官殺害事件に於ける、犯人蔵匿・証拠隠滅の罪で逮捕され執行猶予判決を受けた川本三郎氏の自伝的作品が原作。主人公・沢田(妻夫木聡)はイコール川本氏。
なので全てのセリフが重い。実際に体験した事だろうからやたら重い。

梅山(松山ケンイチ)の「俺を本物にしてくれ」「もう少しで俺達は本物になれるんですよ」がこの作品の全て。
劇中で再三、様々な人から、じゃあその本物って何だ? と問われるのだけど梅山は一度も答えない。あるときは「キミは敵か?」と恫喝し、あるときは「軽蔑しました」と逆ギレし、あるときは「大丈夫だから。お前のために世界を変えたいんだ」と耳元で囁きうやむやにして押し倒す。そこにあるのは焦りだけ。若いオトコ特有のなんだかよく判らない焦り。世界のどこかで起こってる紛争の映像を見たりすると今でも沸き起こるあのカンジ。
この薄っぺらさを、ベテランの記者達はすぐ見抜き ―― 全共闘運動をただ見てるしかできなかったと言う負い目があり、ジャーナリストとしての経験も浅く、感情移入しやすい沢田は見抜けなかった。いや信じていたかった。彼も本物になりたかったから。本物が何かも判らず。

おそらく梅山は、「爪痕を残し」さえすればあとは誰かがやってくれると思ってた。それで自動的に本物になれる。自決して他をアテにした「三島由紀夫に追いついた」と言ってる事からもそれは判る。だから“その先”を問う者は敵だった。「爪痕を残」す事が最大かつ最終的な目的なのに、何を言っているのかと。そう本気で思ってるから性質が悪い。肝心なことは他力頼り。
捕まった瞬間から保身が最優先となったので仲間を売るのも当然。
彼に詐欺師の才覚か、もしくはカリスマ性が僅かでもあったら、とちょっと考えてしまいます。
そしてそんな痛々しい男を松山ケンイチ氏好演。ほんと上手いですねこのひと。持論を語るドヤ顔と声で「ああ薄っぺらいな」と判るし。捕まってからのお芝居も見事。言ってることは無茶苦茶だけど、そこに開き直りというような印象は全くなし。嘘だけど騙そうとはしてない、っていうトーンで次から次に言葉が出てくる。

ラスト。「生きてるだけで」で沢田泣いちゃうけど、ここがもー実にイイ (*゚∀゚)=3
前フリからそういうラストになるんだろうな、と判るけど。それでもイイ。
取り繕った笑顔も、慌ててビールを流し込むところもイイ。
こちらも思わずもらい泣き。
あと「新聞がそんな偉いんですか!」を「偉いんだよ!」で一刀両断した三浦友和さんかっけー。
これが大人の社会だ! で一切の反論を許さない迫力があり。
写真を見せなかったのは最後の意地か。

実に完成度の高い作品でした。男性に特にオススメです。
もう一度くらい見てみたいけど ―― TOHO 上大岡だと 06/17 でおしまいかー。